『GTA 6』は幹部すら全貌を把握できないほど細部満載 『RDR2』の「寒さで縮む馬の睾丸」と同じ発想

Rockstar Gamesが送り出す『グランド・セフト・オートVI』(Grand Theft Auto VI)は、広大なオープンワールドの制作に長い年月を費やしているだけではない。開発チームには大きな裁量が与えられ、各スタッフが面白いと思ったディテールを自由に盛り込めるため、幹部でさえゲームの全貌を把握できていないという。この開発スタイルを知れば、バイスシティに未公開のインタラクションがどれほど隠されているのか、気になるところだ。

ブルームバーグの記者ジェイソン・シュライアーは先日、スコットランドにあるロックスター・ノースのスタジオを訪問した際の舞台裏を明かした。各チームがそれぞれ街並みや住民、環境を作り込んでおり、その多くは上司から一つずつ指示されたものではないという。

インタビューでは、シュライアーがRockstar Gamesの開発責任者アーロン・ガーバットの言葉を紹介。「このゲームにあるすべてを、頭の中で把握できている人間は誰一人としていない」と語っている。

シュライアーによると、バイスシティと膨大な数のNPCを抱える本作では、開発上層部でさえ細部のすべてを把握しているとは限らない。巨大なオープンワールドの各エリアを別々のチームが作り込むこと自体は珍しくないが、『GTA 6』の開発期間と規模を考えれば、発売から何年たってもプレイヤーが新たな発見を続ける可能性があるという。そうしたディテールは、上司が用意した指示書を一つずつ消化して生まれたものではなく、各チームや個々の開発者のアイデアから生まれている。

もちろん、Rockstar Gamesにとって、こうした開発スタイルは今回が初めてではない。ガーバットはインタビューで『レッド・デッド・リデンプション2』(Red Dead Redemption 2)を例に挙げた。同作では、気温が下がると馬の睾丸が収縮する仕様が大きな話題となったが、これは会社があらかじめ開発項目として用意していたものでも、チームに時間を割いて作るよう指示したものでもなかった。あるスタッフにたまたま余裕があり、自らアイデアを形にしたのだという。

一見するとささいなこのディテールは、最終的に『レッド・デッド・リデンプション2』が環境のリアリティーを徹底追求したことを象徴する要素の一つとなった。開発者の自由な発想を後押しし、ゲームの細部を豊かにしていく仕事の進め方は、『GTA 6』の開発にも引き継がれている。

ただし、自由な試みがすべて製品版に残るわけではない。シュライアーによると、Rockstar Gamesは一時期、『GTA 6』でシリーズおなじみの武器ホイールを廃止しようとしていた。ゲーム的すぎるインターフェースによって、キャラクターが持ち歩けない武器をプレイヤーに意識させてしまうことを懸念したためだ。トレイ型やグリッド型などの代替インターフェースを数カ月、場合によっては数年にわたってテストしたものの、最終的には従来のデザインへ戻すことになった。

また、2019年から2022年にかけて、開発チームは『レッド・デッド・リデンプション2』のリアル志向なシステムと、『GTA』シリーズのアーケード寄りなゲームプレイをどう両立させるかに苦戦していたという。プロジェクトが足踏みしていると感じるメンバーもおり、一部のデザイナーは退職。方向性が徐々に固まったのは2023年初頭で、美術スタッフの中には2015年から『GTA 6』に参加し、マイアミへ現地調査に赴いた者もいた。

via: Bloomberg