「反対派は日当で雇われている」――『島耕作』の描写が物議、弘兼憲史氏とモーニング編集部が「軽率だった」と謝罪。単行本では修正へ

弘兼憲史先生による『[[OBJ_5298]]』シリーズは、1983年の『課長島耕作』から始まり、現在連載中の『社外取締役島耕作』に至るまで、長きにわたり愛され続ける大人気シリーズです。

しかし、先日「モーニング」46号に掲載された最新話の内容が、大きな波紋を呼んでいます。作中で沖縄の米軍新基地建設を巡る描写において、「基地建設の反対派には日当で雇われた人がいる」と示唆するセリフがあったことから、ネット上で批判が殺到し“炎上”状態に。これを受け、「モーニング」編集部は10月21日、公式サイトで作者の弘兼憲史氏との連名で謝罪文を掲載しました。

コトの発端は10月18日、最新話が発売されると、作中の女性キャラクターが「あたしなんて(抗議活動に)日当もらって参加してたクチだから」と発言したことに対し、ネットユーザーから疑問の声が上がりました。

沖縄の基地反対運動を巡っては、以前から「日当が出ている」といった噂がネット上で囁かれていましたが、事実として確認されたことはありません。作中では「辺野古」という実在の地名が言及されているため、「フィクションだから」では済まされない、現実の運動を貶めるものだ、といった批判が相次ぎました。

この問題の背景には、長年続く「辺野古新基地建設問題」があります。1996年に日米間で普天間基地の返還が合意されましたが、その移設先として名護市辺野古が浮上。美しい海を埋め立てて新基地を建設する計画には、県民から強い反発の声が上がりました。

2019年に行われた県民投票では、投票者の72.2%が埋め立て「反対」の意思を示したにもかかわらず、国が建設を強行していることから、現在も現地では抗議活動が続いています。

長年続く社会運動が、根拠のない噂によって貶められたとして、抗議活動を支持する人々からは怒りの声が噴出。「噂を事実かのように描くのは悪質すぎる」「弘兼憲史は引退しろ」「モーニングは廃刊すべき」「講談社は説明と謝罪をしろ」など、厳しい意見が飛び交う事態となりました。

そして10月21日、「モーニング」編集部は公式サイトで謝罪文を発表。問題のセリフ「新基地建設の反対派にはアルバイトも多い。あたしも日当いくらで雇われたことがある」について、作者と担当編集者が沖縄で取材を行った際、複数の県民から「反対派に日当が出ている」という話を聞き、それを作品に反映させたと説明しました。

しかし、「当事者への確認ができていない伝聞情報にすぎませんでした」とし、「にもかかわらず、確定情報であるかのように作中で描かれ、キャラクターに発言させたこと、また、編集部としてそれをそのまま掲載してしまったことは、いかにフィクション作品といえども、軽率な判断であったと言わざるをえません」と謝罪。読者へ深くお詫びするとともに、単行本収録時には該当箇所を修正することを明らかにしました。

フィクションとはいえ、実在の社会問題を取り扱うことの難しさを改めて浮き彫りにした今回の騒動。ベテランである弘兼憲史氏ですら直面した“炎上”は、決して他人事ではないのかもしれません。謝罪はされたものの、作品と作家の評価に傷がついたことは間違いなく、読者の信頼を取り戻すにはまだ時間がかかりそうです。