日本史上最強の剣豪として名高い「剣聖」宮本武蔵。木村拓哉さん主演のドラマや、井上雄彦先生の漫画『バガボンド』など、数々の作品で描かれてきた彼の存在は、多くの人々の心に深く刻まれています。
そんな宮本武蔵ですが、最近X(旧Twitter)で、国宝にもなっている彼の「肖像画」が大きな話題を呼んでいます。あるユーザーが「この絵一枚で武蔵のヤバさが伝わるって言うけど、それってファンの過剰な持ち上げ(脳内補完)なんじゃない?」と疑問を投げかけたことがきっかけでした。

この投稿がきっかけで議論が白熱。投稿主によると、武術や格闘技を嗜む人ほど、この肖像画を見て「ゾッとする」「マジで怖い」と感じるのだとか。
なぜなら、描かれた武蔵はすでに抜刀しているにもかかわらず、猫背気味で足も開いておらず、重心がどこにあるのか全く読めないから。武士の決闘において、この構えは極めて不気味で、相手に次の一手を全く予測させません。
重心が読めないということは、いつ踏み込んでくるか分からないということ。しかも、刀を握る手はだらりと下げられ、攻撃の予備動作が一切ありません。しかし、何より恐ろしいのはその「眼」。相手を真っ直ぐに見据えるその視線は、まさに「今からお前を斬る」という殺気そのもの。見る者に底知れぬ危険性と不快感を与えるオーラを放っています。
この構えは実戦では極めて対処が難しいと言われています。果たして宮本武蔵は、本当にそれほど強かったのか? それとも、誰よりも相手の精神を揺さぶる術に長けていただけなのでしょうか?


この議論に対し、武術経験者からは興味深い指摘が寄せられています。現代武道ではよく「顎を引け」と指導されますが、これだと首や肩、背中、腕に力が入ってしまい、かえって動きが硬くなり反応も遅れてしまうとのこと。
しかし、この肖像画の武蔵を見ると、首はわずかに前に出て顎も引いておらず、全身に一切の力みが見られません。つまり、これは「いつでも、どんな動きにも転じられる」究極の脱力状態。防御も攻撃も自由自在というわけです。もっとも、この話を現代の剣道の先生にしたら、きっと渋い顔をされるでしょうが…。

また別のユーザーからは、武術的な観点から「重心が消えている」状態だと指摘する声も。重心が読めない相手というのは、すなわち「いつ、どこから、どのように攻撃してくるか」が全く予測不能だということです。
これは古武術や合気道で言うところの「先の先」を取る構えにも通じます。西洋の格闘技が攻撃的な構えで相手にプレッシャーを与えるのとは対照的に、武蔵の構えは「無」の境地で相手を立ち往生させるかのよう。たかが一枚の絵でありながら、多くの武術家が本能的な恐怖を感じるというのは、決して偶然ではないのかもしれません。

さらに、あるユーザーが投稿した剣道七段の高段者の写真が、この議論をさらに裏付けます。その立ち姿は、驚くほど宮本武蔵の肖像画と一致しており、実際にこの写真は2022年にも一度ネットで話題になっていました。
(剣道七段は段位の中でも上から二番目の高段位であり、非常に優れた実力者と言えます。)

人気格闘漫画『刃牙』シリーズでも、あの範馬勇次郎が宮本武蔵の構えを披露するシーンがあり、この立ち姿が“本物”であることが伺えます。

何百年も前の歴史上の人物でありながら、たった一枚の肖像画がこれほどまでにネットを沸かせるのですから、宮本武蔵という存在が我々日本人にとって、いかに特別なものであるかが分かりますね。「剣聖」の名は、やはり伊達ではないようです…!
via: togetter