デハラユキノリ インタビュー:ダメおやじを国民的アイドルに変えた鬼才アーティスト

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現代のソフビおよびアートトイの分野において、デハラユキノリは間違いなく見逃せない重要なクリエイターのひとりです。代表キャラクター「サトシ君(Satoshi-kun)」を軸に、ユーモアと社会風刺を融合させた立体作品を次々と生み出し、世界中のファンを魅了し続けています。

紙粘土から始まった彼の創作活動は、東京、台湾、香港、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリなど、世界各地へと広がり、「驚き」と「楽しさ」を届けるという初心を貫いてきました。ヘタウマなスタイルを通じて、粘土、ソフビ、フィギュア、イラストの垣根を自由に行き来しながら、映画・アニメ・広告など多彩なジャンルとのコラボレーションを展開。独自のソフビアートの世界を切り拓いてきました。

昨年、デハラ氏は香港のソフビブランド「Kaiju One(壹工房)」と初のコラボレーション作品《DEHARA's マジンガーZ》を発表しました。本作は、表的なロボットキャラ《マジンガーZ》 を独自のパロディ美学で再構築し、「ダメおやじ視点」満載の作品として話題を呼びました。 コクピットに乗っているのは、熱血少年ではなく、あの“残念設定”でおなじみのサトシ君。

――リストラ最前線!
――会社も家も居場所が無い
――娘から5年シカト
――恥ずかしがり屋でナキムシ
――キャバクラ大好き(カモ)

熱血・ソフビ・中年の哀愁という異色の要素が融合したこの作品は、デハラ氏のキャリアにおいても新たな驚きをもたらす一章となりました。 今回のインタビューでは、《DEHARA's マジンガーZ》誕生の舞台裏に迫るとともに、高知出身で今もなお“遊び心”を失わないこのアーティストが、どのようにしてソフビという表現を通じて、トイの可能性を拡張し続けているのかを探ります。

玩具人:どのようなきっかけで粘土を使った創作活動を始められたのでしょうか?その出発点についてお教えいただけませんか?

DEHARA:子供の頃から粘土で遊ぶのが好きでした。主人公と敵を作って戦わせていました。最後は、両方とも腕がちぎれ頭がちぎれバラバラになります。

▼ 他のデザイナーとは異なり、DEHARA先生は一貫して紙粘土を使って作品を制作されています。時には、Instagramで制作過程の動画をシェアされることもあります。


玩具人:『サトシ君』はデハラさんの代表作だと思います。このキャラクターが誕生した経緯についてお教えいただけませんか?また、当初はどのように構想されたのでしょうか?

DEHARA:美大時代からおじさんの絵は描いていましたが、25歳の時に個展をするときにおじさんの名前をサトシ君と名付けました。それから26年同じキャラクターを作り続けています。

▼ デハラ先生が最初に制作したサトシ君。 Image credit:DEHARA.com



玩具人:デハラさんは普段、どのようにしてインスピレーションを得られているのでしょうか?創作をする際に、特別な儀式や習慣がございますか?

DEHARA:スケッチをまず書いてからフィギュアを作ることが多いです。人を観察するとが好きです。映画を見ることが好きです。それらの中からインスピレーションを得ているかもしれません。


玩具人:デハラさんの創作プロセスを教えてください。例えば『DEHARA's マジンガーZ』の場合、最初のステップはラフを描くか?それとも直感で作るのでしょうか?

DEHARA:スケッチは何枚か書いてから作ります。ただし、立体の専門家のように3面図を書いてから作る事はしません。ある程度直感と成り行きに任せます。

▼ デハラ先生が手がけた《DEHARA's マジンガーZ》のスケッチ。


玩具人:『DEHARA's マジンガーZ』の中で、特に気に入っているポイントがあれば、理由と共にお教えください。

DEHARA:ソフビでできたロボットは好きです。ロボットなのに柔らかくて手触りがあり、懐かしい感じがします。なので私が作ったマジンガーZはあまり直線的ではありません。コクピットにサトシ君がいるところが好きです。


玩具人:初めて制作された玩具のことを覚えていらっしゃいますか?その時の経験や感想などについてお教えください。

DEHARA:2000年、香港のデザイン雑誌『FLIPS4』のためにカメラを持ったサトシ君を作ったのが最初です。ソフビではなくレジン製でしたが、自分のフィギュアが量産されることに興奮しました。

▼《FLIPS4》のユニークな発泡スチロール製パッケージには、サトシ君のレジンフィギュアに加え、DVDと雑誌も付属しています。 Image credit:メルカリ


玩具人:これまでの作品の中で、デハラさんが最もお気に入りのものは何でしょうか?理由と共にお教えください。さらに、制作過程で最も印象に残っている作品はどれでしょうか?

DEHARA:サトシヤマモトです。1番長い間作り続けているキャラクターだからです。ソフビ原型を約1分で作ると言う企画で作った『IPPUN』『HONBAN』と言うキャラクターも印象的です。

▼ サトシヤマモトは、DEHARA先生の作品の中でも最も代表的なキャラクターのひとつであり、さまざまな造形やカラーで展開されています。 Image credit:AMAZON

▼ 2024年、DEHARA先生は「ONE TAKE, ONE MINUTE」チャレンジに挑戦されました。1分間で原型を制作し、その後の修正は一切行わず、そのまま商品化するという企画です。


玩具人:尊敬するまたは特に好きな有名人やアーティストはいらっしゃいますか?彼らからデハラさんの作風に影響を受けたことはございますか?

DEHARA:湯村輝彦というイラストレーターに影響を受けています。彼の作品はヘタウマと呼ばれ、子供が描いたような独特のタッチです。

▼ 湯村輝彦の作品集《湯村輝彦ヒットパレード》。 Image credit:Pay ID


玩具人:デハラさんはご出身地である高知県の観光特使も務めていらっしゃいますね。故郷はデハラさんの創作に影響を受けたことはございますか?

DEHARA:故郷の高知県がとても好きです。お酒を飲む人が多くて、楽しいです。コーチは日差しが強いので、植物の色や海の色がくっきり見えてカラフルです。それが自分の作品の色使いに影響を与えているかもしれません。

▼ 故郷・高知県を深く愛するDEHARA先生は、高知県観光特使に任命され、地元のPR活動にも積極的に取り組まれています。 Image credit:高知イーブックス


玩具人:昨年の《どろめ祭り》では、デハラさんは19秒35で一升のお酒を飲み干し、見事優勝を勝ち取りましたね!日本酒への愛は、デハラさんの創作活動にも影響を与えていますか?

DEHARA:酔っ払うのも酔っ払いを見ることも好きです。彼らを見ると自由を感じます。高知にはフレッシュな日本酒がたくさんあるのでよく飲みます。

▼ 2024年4月28日、DEHARA先生は高知県香南市で開催された「どろめ祭り」の「大杯飲み干し大会」に出場し、1升の日本酒を19秒35で飲み干して見事優勝されました。 Image credit:高知イーブックス


玩具人:お気に入りの作業環境がありますか?工房の様子についてぜひ教えてください。

DEHARA:東京と高知にスタジオがあります。東京のスタジオからは空がよく見えます。高知のスタジオは飲み屋街の中にあります。どちらも気に入っています。

Image credit:deharayukinori


玩具人:デハラさんは台湾のイベントにもよく参加されていらっしゃいますね。台湾に対するイメージを教えてください。台湾でのお気に入りの場所や食べ物はございますか?

DEHARA:台湾は食べ物も美味しくて、人が親切なので好きです。古くからのフィギュアのファンも多くてうれしいです。台湾ではガイドブックを見ずに知らない店に入るのが好きです。大体注文を失敗しますが、それも楽しいです。

▼ 2023年のTTFでは、DEHARA先生がサイン会に来てくださったすべてのファンの方を写真に撮り、ネット上でシェアされました。 Image credit:deharayukinori


玩具人:ご自身の作品玩具の創作以外にも、玩具や特別なコレクションをお持ちでしょうか?

DEHARA:映画のチラシが好きでたくさん持っています。整理できていませんが。絵やフィギュア、彫刻など現代の作家の作品を買っています。

Image credit:@deharayukinori


玩具人:玩具の創作活動以外にも、特にお好きな趣味やご関心のあることがございましたらぜひお教えください!

DEHARA:映画を見ることが好きですが、1番の楽しみは友達とお酒を飲みに行くことです。時々バスケもします。


玩具人:デハラさんにとって『玩具とは何か?』

DEHARA:遊び! PLAY


玩具人は、Kaiju Oneとのコラボレーションにより、デハラユキノリ先生が手がけた《DEHARA's マジンガーZ》の玩具人限定バージョンを発売できることを大変光栄に思っております! 近日中に抽選受付を開始いたしますので、ぜひ最新情報をお見逃しなく!

デハラユキノリ先生の最新作品をチェック!
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