フロリダ州タンパで先週末に開催された、記念すべき第1回「ナショナル・ゲーミング・エキスポ」(NGE)。豪華ゲストと3万人規模をうたう大々的な宣伝で、多くのゲームファンがチケットを買い求めた。
ところが、いざ会場に足を運んでみると、そこには空っぽの展示ホール、約束されていたゲストたちの姿はなく、唯一のカメラマンもドタキャン。あげくの果てには、ゲームとは全く無関係のラクダや家畜まで登場し、参加者からは「騙された」と怒りの声が噴出している。
イベントは2025年8月8日から10日にかけてフロリダ州立博覧会場で開催され、主催者側は『グランド・セフト・オートV』、『レッド・デッド・リデンプション』シリーズ、『モータルコンバット』の声優陣、さらに任天堂のクラシックキャラクターの声優や『ドンキーコング』シリーズの作曲家グラント・カークホープを招待すると発表していた。

チケットは1日券が40ドル、3日通し券が90ドルだったが、参加者が会場で目にしたのは、まばらな出展ブースとゲームとは無関係な商品の数々。ある参加者は「家電量販店のベスト・バイに来たつもりが、ブロッコリーと食器用洗剤しか置いてなかった」と、その惨状を例えている。



▼ナショナル・ゲーミング・エキスポで撮影されたナマケモノ
さらにファンを失望させたのは、『レッド・デッド・リデンプション』のキャスト陣が初日に全く姿を見せず、夜になってようやく数人が現れたことだ。しかもカメラマンが来なかったため、フォトセッションは中止に追い込まれた。SNS上に出回っている現場写真には、誰もいないサインテーブルがいくつも写っている。ファンの怒りが高まる中、イベントの Instagramアカウントは削除され、Facebookのイベントページも非公開に。フロリダ州立博覧会場の公式投稿には、NGEのCEOであるマイケル・ウィッテンバーグ氏に向けられた大量の苦情が殺到した。


ウィッテンバーグ氏は過去に「ナショナル・ベイプ・エキスポ」(National Vape Expo)を主催していたが、新型コロナウイルスのパンデミック中に中止となっていた。
2023年、彼は国際的な薬物密売事件でドミニカ共和国で1年半服役した後に米国へ帰国した。この事件はTHC(テトラヒドロカンナビノール)を含む700ポンドのキャンディーと電子タバコのカートリッジに関するもので、彼は当時「愚かで無知だったが、有罪ではない」と弁明していた。

ネットユーザーからは、彼が過去にも質の低い、あるいは物議を醸すイベントを手がけ、従業員への給与未払いもあったと指摘されている。『グランド・セフト・オートV』の俳優ネッド・ルークは『IGN』のインタビューに対し、「これは詐欺だ。主催者は詐欺師で、コミコンに詐欺を持ち込んだようなものだ」と痛烈に批判した。
『レッド・デッド・リデンプション』でアーサー・モーガン役を演じたロジャー・クラークも、「大変申し訳ないのですが、本日、ナショナル・ゲーミング・エキスポの最終日に出席できなくなりました。私のコントロールの及ばない状況による欠席です。本当にクレイジーな事態だ。申し訳ない」と投稿した。
この騒動に対し、ウィッテンバーグ氏は、ゲーム業界が閉鎖的で出展者集めに苦労したこと、そしてファンはブース巡りよりも俳優に会うことを主な目的としていたと反論。ゲストの欠席については、2つのタレント事務所――Celebrity Talent BookingとCelebworx――に責任があると主張した。前者については、イベント前夜に1万ドルの日当と交通費を急遽要求してきたため、俳優の到着が遅れたり欠席したりしたと説明。後者については、フライト手配をめぐる対立の末に出演をキャンセルしたという。彼はEventbriteを通じて、有料だったフォトセッションと日曜日のチケット代は返金すると約束したが、金曜日と土曜日のチケットの返金は拒否。実際の来場者数は2,000人から3,000人だったと述べた。
その後、Celebworxは声明を発表。主催者側が何度も契約に違反し、重要な問題の解決を拒んだため、信頼を失い出演を取りやめたと説明。さらに、主催者が観客へのキャンセル通知を怠ったと批判した。一方、NGEのパートナーであるラリー・ウォラック氏は、Celebrity Talent Bookingが「奇妙な要求を繰り返し続けた」と反論し、同社に対して連邦訴訟を起こす意向を明らかにした。
ウィッテンバーグ氏は今後の改善を約束したものの、混乱とゲスト不在に終わったこの第1回ナショナル・ゲーミング・エキスポは、ゲーマーと業界関係者の間に拭いがたい悪印象を残したようだ。
via: IGN